在留資格・ビザ2026-07-16監修:山根一城(株式会社ポテンシャライト)

転職後の在留資格の届出と変更手続き — 何をいつ出すか

この記事の要点

「転職が決まったんですけど、ビザって何もしなくていいんですか?」——先日、技術・人文知識・国際業務の在留資格で働く相談者からこう聞かれました。

結論から言うと、多くの転職では「何もしなくていい」わけではありません。在留資格そのものは変わらなくても、出入国在留管理庁への届出は原則として必要です。そして働く内容が大きく変わる場合は、在留資格変更許可申請という別の手続きが必要になることもあります。個人的には、この線引きを内定が出た直後に確認しておくだけで、入社後のトラブルをかなり減らせると考えています。この記事では、転職に伴う在留資格関連の手続きを、僕の相談対応の経験も交えながら整理していきます。

0. 転職とビザは「セット」で考えるべき理由

転職活動をしていると、つい「内定をもらうこと」がゴールに見えてしまいます。ですが在留資格を持って働く方にとって、転職はもう一段階、手続き面での作業がついてきます。出入国在留管理法19条の16では、中長期在留者に対して所属機関の変更等について届出義務を課しています。これは罰則ありのルールで、怠ると20万円以下の罰金の対象になる可能性があるとされています(出入国在留管理庁の案内に基づく)。

僕の体感値で言うと、届出そのものは書類1枚程度の簡易なものなので、作業量として大変なものではありません。むしろ問題は「うっかり忘れる」「何を出せばいいか分からず放置する」というケースです。転職の喜びと入社準備のバタバタの中で、この事務作業が後回しになりやすいのは自然なことだと思います。ただ、後回しにした結果として次回の在留期間更新のタイミングで在留状況を細かく説明する必要が出てくると、余計な労力がかかってしまいます。転職とビザの手続きは、引っ越しと住所変更のようなものだとイメージすると分かりやすいかもしれません。引っ越し自体は嬉しい出来事でも、役所への住所変更は別途必要で、忘れると後で困る。同じ構造だと捉えると、手続きへの心理的な抵抗が少し減るのではないかと考えています。

1. 転職で在留資格はどう変わるのか — 同一資格内 vs 資格変更

まず整理したいのは、転職には大きく2つのパターンがあるという点です。1つ目は「同一の在留資格の範囲内での転職」、2つ目は「在留資格の範囲を超える転職」です。

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でシステムエンジニアとして働いている方が、別の会社でも同じくシステムエンジニアやITコンサルタントとして働く場合は、在留資格の範囲内の転職と考えられることが多いです。この場合は在留資格変更許可申請は不要で、後述する届出のみで対応できるケースが中心になります。

一方で、同じ方が「調理師として独立して店を持つ」「工場のライン作業員として働く」といった、在留資格の活動内容から明らかに外れる転職をする場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。特定技能や技能実習など活動内容が限定されている在留資格では、この線引きがより明確です。個人的には、転職先の業務内容が「今の在留資格の説明文に書かれている活動」に当てはまるかどうかを、内定通知を受けた時点で一度自分の目で確認しておくことをおすすめしています。判断に迷う場合は、行政書士や出入国在留管理庁の相談窓口に事前に確認するのが安全だと考えています。

2. 所属機関に関する届出 — 14日以内に出すべき理由

在留資格の変更が不要なケースでも、必ず対応が必要なのが「所属機関に関する届出」です。これは転職によって勤務先(契約機関)が変わったことを出入国在留管理庁に知らせる手続きで、対象は中長期在留者です。独自ガイドの目安として、退職日または入社日から14日以内に届け出るとされています。

届出の方法は、出入国在留管理庁の窓口への提出、郵送、または在留カード等番号を用いたオンライン届出システムの利用が可能です。オンライン届出は自宅からでも完了できるため、僕が相談を受ける中でも利用を勧めることが多い手段です。必要な情報は新しい勤務先の名称・所在地・入社日程度で、複雑な書類作成は求められません。

この届出を怠った場合、即座に在留資格が取り消されるわけではありませんが、次回の在留期間更新申請の際に「なぜ届出をしていなかったのか」を説明する必要が出てくることがあります。また、悪質な未届と判断されれば在留資格取消しの対象になり得るという説明が出入国在留管理庁の資料にもあります。僕の感覚では、更新申請時に余計な確認事項が増えるだけでも心理的な負担は大きいので、転職が決まったらできるだけ早く——理想的には入社日から1週間以内——に済ませておくのが安心だと考えています。

3. 在留資格変更許可申請が必要なケース・不要なケース

ここまでの整理をもう少し実務的な形にまとめると、以下のような目安になります。あくまで独自ガイドの目安値であり、個別の状況によって判断が変わる点はご留意ください。

転職のパターン必要な手続き独自ガイドの処理期間目安
同一在留資格内・同業種同職種の転職所属機関に関する届出のみ届出自体は当日〜数日で完了
同一在留資格だが職務内容が変わる転職届出+場合により就労資格証明書の取得を推奨証明書申請は1〜2か月程度
在留資格の範囲を超える職種への転職在留資格変更許可申請が必要2週間〜1か月程度(出入国在留管理庁が示す標準処理期間の目安)

特に3つ目のパターンに当たる場合、内定から入社までの期間が短いと、変更許可が出る前に働き始めてしまうリスクがあります。これは資格外活動にあたる可能性があるため、内定を受けた時点で「この業務は今の在留資格の範囲内か」を確認し、必要であれば入社日を後ろにずらしてもらえるか会社側と相談することも一つの選択肢だと考えています。転職エージェントを利用している場合は、この点を早めに担当者へ伝えておくと、企業側との日程調整がスムーズになることが多いです。

4. 就労資格証明書 — 任意だけど取っておくと安心な理由

就労資格証明書は、新しい勤務先での活動内容が在留資格の範囲内であることを出入国在留管理庁が証明する文書です。取得は義務ではありません。ですが、僕は個人的に、判断が分かれやすい職種の転職では取得をおすすめすることが多いです。

以前相談を受けた方で、IT系のエンジニアから同じ会社内でマーケティング職に異動した方がいました。業務内容が大きく変わったわけではないと本人は考えていたのですが、次の転職活動の際に前職の経験が在留資格の範囲内だったのかを企業側から確認され、少し説明に苦労したという話を聞きました。こうした場合、転職や異動のタイミングで就労資格証明書を取得しておけば、後になって「この期間の活動は適法だったか」を自分で証明する手間が省けます。特に次の更新や次の転職を見据えている方には、保険のような役割を果たすと考えています。

申請は出入国在留管理庁の窓口で行い、独自ガイドの目安として発行までに1〜2か月程度かかることがあります。転職直後の慌ただしい時期に申請を忘れがちですが、入社後の落ち着いたタイミングで検討しておくとよいでしょう。

5. 実務手順チェックリスト — 内定から入社後まで

ここまでの内容を、実際の行動ベースに落とし込んでみます。転職活動を進めている方は、以下の順番で確認していくと手続き漏れを防ぎやすいと思います。

  1. 内定通知を受けたら、新しい業務内容が現在の在留資格の活動範囲に収まるかを確認する。
  2. 範囲を超える可能性がある場合は、行政書士や出入国在留管理庁の相談窓口に事前相談し、在留資格変更許可申請の準備を始める。
  3. 入社日が決まったら、会社側に在留カードの写しなど必要書類の提出を依頼し、届出用の情報(会社名・所在地・入社日)を整理する。
  4. 入社後は、退職日または入社日から14日以内に所属機関に関する届出を提出する(窓口・郵送・オンラインのいずれか)。
  5. 職務内容の判断に迷う要素があった場合は、就労資格証明書の申請を検討する。
  6. 次回の在留期間更新の時期をカレンダーに登録し、更新申請時に転職歴と届出履歴を説明できるよう資料をまとめておく。

この順番で進めておけば、入社後にバタバタする中でも手続きを見落とすリスクをかなり減らせると考えています。特に4番目の届出は忘れやすいポイントなので、入社初日のToDoリストに入れておくことをおすすめします。

6. よくある失敗と対処

相談対応の中でよく見かける失敗パターンを3つ挙げます。

1つ目は「届出をしたつもりで実際は完了していなかった」というケースです。オンライン届出システムを利用した際、送信完了の確認画面をきちんと確認せずに離脱してしまい、実際には未提出のままだったという話を聞いたことがあります。届出後は受理番号や完了通知のメールを保存しておくと安心です。

2つ目は「在留資格変更許可申請の結果が出る前に転職先で働き始めてしまった」というケースです。特に入社を急ぐ企業側の事情で、許可が下りる前提で勤務を始めてしまうと、資格外活動に該当するリスクがあります。許可が出るまでは前職の在留資格の範囲内でしか活動できない点を、企業側にも明確に伝えておくことが対処になります。

3つ目は「就労資格証明書を取らずに次の転職活動で説明に苦労した」というケースです。前述の通り必須ではありませんが、業務内容の判断が分かれやすい職種を経験した方は、次の転職前に取得を検討しておくと、企業側への説明がスムーズになります。

7. (結論)

転職は新しいキャリアの入口であると同時に、在留資格に関する事務作業の入口でもあります。同一資格内の転職であれば所属機関に関する届出だけで済むことが多く、職務内容が大きく変わる場合は在留資格変更許可申請が必要になる、という基本線を押さえておけば、大きな失敗は避けられると考えています。就労資格証明書のような任意の手続きも、次のキャリアを見据えるなら検討する価値があります。皆さんいかがでしたでしょうか。手続きの話は地味に見えますが、キャリアを安心して積み重ねていくための土台になる部分です。では今日もがんばりましょう。

よくある質問

Q. 転職したら在留資格は必ず変わりますか?

必ずは変わりません。同じ職種・同じ業務内容の範囲内での転職であれば、在留資格自体は変更せず、出入国在留管理庁への「所属機関に関する届出」だけで済むケースが多いです。一方で職務内容が在留資格の範囲を超える転職では、在留資格変更許可申請が必要になります。まずは内定時点で新しい業務内容が現在の在留資格の範囲に収まるかを確認することが出発点になります。

Q. 所属機関に関する届出はいつまでに出せばいいですか?

独自ガイドの目安として、転職などで所属機関が変わった日から14日以内に届け出るとされています。出入国在留管理庁の窓口またはオンラインシステムで提出でき、対象は中長期在留者です。期限を過ぎても即座に罰則が科されるわけではありませんが、次回の在留期間更新の際に在留状況の説明を求められることがあるため、早めの提出をおすすめします。

Q. 就労資格証明書は取っておいた方がいいですか?

必須ではありませんが、取得しておくと安心だと考えています。新しい勤務先での活動内容が在留資格の範囲内であることを出入国在留管理庁が証明する文書で、次の転職時や在留期間更新時に活動内容の適合性を説明する資料として使えます。特に業務内容が複雑だったり、判断が分かれやすい職種の場合は、取得しておく価値があると感じています。

監修:山根 一城(株式会社ポテンシャライト 代表)

IT人材業界20年、ギークリー創業を経て現職。個人として通算4,200名のキャリア面談を実施してきた経験に基づき監修しています。本文中の年収・難易度等は独自ガイドの目安値であり、個人の経験・企業により変動します。

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